セルフホスト用VPSの選び方|7社の料金とファイアウォールを公式情報で比較

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VPS の比較記事の多くは、月額料金を安い順に並べて終わります。ただ、Docker でアプリを動かす場合、料金と同じくらい大事な違いが2つあります。必要なメモリと、VPS の管理画面で通信を制限できるかです。

この記事では、国内7社の公式ページで料金と仕様を確かめ、セルフホストに必要な観点で整理しました。

2026年10月は、新規申込を止めている会社があります

10月中旬に公表された Linux カーネルの脆弱性への対応で、複数の会社が新規申込を一時停止しています。下の表の「新規申込」は、10月23日時点の各社のお知らせに基づきます。契約の前に公式ページで最新の状況を確かめてください。

先に結論:用途ごとの選び方

動かすもの 必要なメモリの目安 選び方
n8n だけ 2GB(大量のデータを扱うなら 4GB) 料金の安さで選んでよい。管理画面のファイアウォールがあればなお安心
Dify だけ 4GB 初期状態で外からの接続を拒否するファイアウォールがある会社を優先する
Dify と n8n を同居 8GB 8GB の料金差が大きい。ファイアウォールの有無と料金のどちらを取るかで決める

メモリの目安は、このサイトで実測した値に基づきます(Dify の実測、n8n の実測、同居させたときの実測)。

観点1:メモリ別の料金

各社のプランは、メモリの量が同じでも CPU の数やストレージの容量が違います。ここではメモリをそろえて比べます。

メモリ 2GB のプランの比較(税込み、1ヶ月契約の安い順)
サービスとプラン1ヶ月契約最長契約の月額ファイアウォール新規申込
KAGOYA CLOUD VPS2GB、2コア、NVMe SSD 200GB770円715円12ヶ月(年額)初期状態は全許可セキュリティグループ停止中
WebARENA Indigo2GB、2コア、SSD 40GB814円814円なし(時間課金のみ)未確認セキュリティグループ停止中
シンVPS大容量メモリ 2GB、2コア、NVMe SSD 50GB1,040円950円36ヶ月未確認パケットフィルター受付中
ConoHa VPS2GB、3コア、SSD 100GB1,259円初回 1,007円903円36ヶ月初回 677円初期状態で拒否セキュリティグループ受付中
ABLENET VPSL1、2コア、SSD 40GB1,476円初回 1,234円1,130円12ヶ月(年払い)初回 968円記載なし受付中
さくらのVPS2G、3コア、SSD 100GB1,738円1,594円12ヶ月一部だけ制限パケットフィルター一部のみ受付
XServer VPS2GB、3コア、NVMe SSD 50GB受付停止の告知(7月14日)のあと、再開の告知が見当たらない1,980円1,265円36ヶ月初期状態で拒否パケットフィルター受付中

に各社の公式ページで確認した価格です。1ヶ月契約は更新時の価格で、時間課金・日額課金しかない会社は月額の上限を載せています(ConoHa VPS は一括前払いの1ヶ月の価格で、時間課金はこれより上限が高くなります)。最長契約の月額は、最も長い契約期間の料金を1ヶ月あたりに換算した額です。ファイアウォールは、VPS の管理画面で設定できるものの初期状態です。申込の受付状況は変わりやすいため、契約の前に公式ページで確かめてください。

  • ConoHa VPS: 初回の価格は 2026年10月29日までのキャンペーン価格で、申し込み時だけ適用されます
  • ABLENET VPS: 初回の価格は「契約時特別価格」で、最初の支払いだけに適用されます(期限の記載なし)
メモリ 4GB のプランの比較(税込み、1ヶ月契約の安い順)
サービスとプラン1ヶ月契約最長契約の月額ファイアウォール新規申込
WebARENA Indigo4GB、4コア、SSD 80GB1,630円1,630円なし(時間課金のみ)未確認セキュリティグループ停止中
KAGOYA CLOUD VPS4GB、4コア、NVMe SSD 600GB1,760円1,617円12ヶ月(年額)初期状態は全許可セキュリティグループ停止中
シンVPS大容量メモリ 4GB、3コア、NVMe SSD 50GB1,800円1,350円36ヶ月未確認パケットフィルター受付中
ABLENET VPSL2、3コア、SSD 80GB2,167円1,706円12ヶ月(年払い)初回 1,536円記載なし受付中
ConoHa VPS4GB、4コア、SSD 100GB2,189円初回 1,752円1,691円36ヶ月初回 1,285円初期状態で拒否セキュリティグループ受付中
XServer VPS4GB、4コア、NVMe SSD 150GB2,640円2,035円36ヶ月初期状態で拒否パケットフィルター受付中
さくらのVPS4G、4コア、SSD 200GB3,520円3,227円12ヶ月一部だけ制限パケットフィルター一部のみ受付

に各社の公式ページで確認した価格です。1ヶ月契約は更新時の価格で、時間課金・日額課金しかない会社は月額の上限を載せています(ConoHa VPS は一括前払いの1ヶ月の価格で、時間課金はこれより上限が高くなります)。最長契約の月額は、最も長い契約期間の料金を1ヶ月あたりに換算した額です。ファイアウォールは、VPS の管理画面で設定できるものの初期状態です。申込の受付状況は変わりやすいため、契約の前に公式ページで確かめてください。

  • ABLENET VPS: 初回の価格は「契約時特別価格」で、最初の支払いだけに適用されます(期限の記載なし)
  • ConoHa VPS: 初回の価格は 2026年10月29日までのキャンペーン価格で、申し込み時だけ適用されます
メモリ 8GB のプランの比較(税込み、1ヶ月契約の安い順)
サービスとプラン1ヶ月契約最長契約の月額ファイアウォール新規申込
ABLENET VPSL3、4コア、SSD 160GB2,936円2,400円12ヶ月(年払い)初回 2,280円記載なし受付中
KAGOYA CLOUD VPS8GB、6コア、NVMe SSD 800GB3,410円3,135円12ヶ月(年額)初期状態は全許可セキュリティグループ停止中
WebARENA Indigo8GB、6コア、SSD 160GB3,410円3,410円なし(時間課金のみ)未確認セキュリティグループ停止中
シンVPS大容量メモリ 8GB、4コア、NVMe SSD 100GB3,450円2,620円36ヶ月未確認パケットフィルター受付中
ConoHa VPS12GB、6コア、SSD 100GB8GB のプランはなく、12GB が最も近い4,389円初回 4,082円3,192円36ヶ月初回 2,553円初期状態で拒否セキュリティグループ受付中
XServer VPS8GB、6コア、NVMe SSD 400GB5,280円3,850円36ヶ月初期状態で拒否パケットフィルター受付中
さくらのVPS8G、6コア、SSD 400GB7,040円6,454円12ヶ月一部だけ制限パケットフィルター一部のみ受付

に各社の公式ページで確認した価格です。1ヶ月契約は更新時の価格で、時間課金・日額課金しかない会社は月額の上限を載せています(ConoHa VPS は一括前払いの1ヶ月の価格で、時間課金はこれより上限が高くなります)。最長契約の月額は、最も長い契約期間の料金を1ヶ月あたりに換算した額です。ファイアウォールは、VPS の管理画面で設定できるものの初期状態です。申込の受付状況は変わりやすいため、契約の前に公式ページで確かめてください。

  • ABLENET VPS: 初回の価格は「契約時特別価格」で、最初の支払いだけに適用されます(期限の記載なし)
  • ConoHa VPS: 初回の価格は 2026年10月29日までのキャンペーン価格で、申し込み時だけ適用されます

料金を見るときの注意点です。

  • 最長契約の実質月額は、契約期間が会社ごとに違います。 36ヶ月の一括前払いと12ヶ月の年払いを並べているため、単純には比べられません。ConoHa VPS は一括前払いの途中解約ができないと明記しています。ほかの会社も、契約の前に解約の条件を確かめてください。
  • ConoHa VPS と ABLENET VPS には「初回だけの価格」があります。 2回目以降の支払いは更新時の価格になるため、表では更新時の価格を主に載せました。
  • ConoHa VPS には 8GB のプランがありません。 8GB の表には、最も近い 12GB のプランを載せています。

観点2:管理画面のファイアウォール

Docker Compose で HTTPS 公開する記事で書いたとおり、Docker が公開したポートは、OS のファイアウォール(ufw)の設定を通りません。Docker の公式ドキュメントも、この点を注意事項として挙げています。

そのため、VPS の管理画面にあるファイアウォールは「設定を誤ったときの最後の防壁」として役立ちます。VPS の外側で通信を止めるため、Docker の設定とは関係なく効くからです。

料金以外の比較(ファイアウォール、テンプレート、申込状況)
サービス管理画面のファイアウォール公式のテンプレート新規申込
ABLENET VPS大阪記載なし管理画面のファイアウォールは公式の仕様に記載がない。公式は OS のファイアウォールでの制限を案内しているDocker、Dify、n8n受付中脆弱性への対応では「新規申込の停止は予定していない」と案内
ConoHa VPS国内(都市名の記載なし)初期状態で拒否外からの接続は、許可するグループを付けるまで届かない。IPv4・IPv6とも設定できるDocker、Dify、n8n受付中脆弱性への対応で 10月19日に新規申込を停止し、10月23日に再開
KAGOYA CLOUD VPS未確認(公式ページに記載なし)初期状態は全許可適用していないサーバーは全許可。適用すると、許可したもの以外を拒否するDocker、Dify(n8nは確認できず)停止中脆弱性への対応で 10月19日から新規申込を停止。再開時期は未定
さくらのVPS石狩の価格(東京・大阪はこれより高い)一部だけ制限初期状態は SSH(22番)だけ許可。ただし IPv6 は全許可で、32768番以上のポートも常に許可される。スタートアップスクリプトで作成した場合は初期状態でオフDocker、Dify、n8n一部のみ受付脆弱性への対応で 10月16日に全リージョンの新規申込を停止。10月23日に石狩だけ再開し、東京・大阪は再開時期未定。石狩の 4GB〜16GB は 10月2日から在庫切迫の告知あり
シンVPS国内(都市名の記載なし)未確認初期状態は公式ページで確認できなかった。オフにすると全ポートが許可されるDocker、Dify、n8n受付中新規申込の停止の告知は見当たらない
WebARENA Indigo東京未確認初期状態は公式ページで確認できなかったなし(Docker、Dify、n8nは確認できず)停止中脆弱性への対応で 10月21日から新規申込を停止。再開時期は未定。平常時も平日16時〜翌9時と土日祝は申し込めない
XServer VPS国内(都市名の記載なし)初期状態で拒否契約直後はすべての接続を拒否する設定。IPv6 の扱いは未確認Docker、Dify、n8n受付中9月17日から停止していた新規受付を 10月6日に再開。2GB は 7月14日に受付停止が告知され、再開の告知は見当たらない。10月21〜22日は脆弱性への対応で公式サイトと管理画面を停止し、10月23日に新規申込を再開

に各社の公式ページとお知らせで確認しました。テンプレートは、Docker・Dify・n8n をまとめて入れられる公式の仕組み(アプリイメージ、スタートアップスクリプトなど)の有無です。

各社の出典(公式ページ)を見る
  • 初期状態で外からの接続を拒否すると公式情報で確認できたのは、ConoHa VPS と XServer VPS です。 必要なポート(SSH、80番、443番)だけを自分で開ける形になります。シンVPS と WebARENA Indigo は、初期状態を確認できませんでした。
  • さくらのVPS は、制限できる範囲に限りがあります。 初期状態では SSH だけを許可しますが、公式マニュアルによると IPv6 の通信はすべて許可され、32768番以上のポートも常に許可されます。また、スタートアップスクリプトを選んで作成したサーバーでは、パケットフィルターは初期状態でオフです。
  • KAGOYA CLOUD VPS は、セキュリティグループを適用するまで全許可です。 作成したら、最初に適用してください。
  • ABLENET VPS は、管理画面のファイアウォールが公式の仕様に見当たりません。 OS 側のファイアウォールで守る前提になります。Docker では、アプリのポートを 127.0.0.1 に限定するか公開しない、というこのサイトの構成のとおりにしてください。

管理画面のファイアウォールがなくても、構成で守れます

このサイトの手順では、インターネットに公開するのは Caddy の 80番と 443番だけで、Dify や n8n のポートは外に出しません。管理画面のファイアウォールは、その上に重ねる保険です。ない会社を選ぶ場合は、docker ps で 0.0.0.0 に公開されたポートがないかを必ず確かめてください。

観点3:公式のテンプレート

多くの会社が、Docker や Dify、n8n をまとめて入れられる仕組み(アプリイメージ、スタートアップスクリプトなど)を用意しています。すぐに試すには便利ですが、次の点に注意してください。

  • 入るバージョンや構成は、各社のテンプレートしだいです。HTTPS の設定や、どのポートを公開するかも、テンプレートによって違います。
  • テンプレートで作ったサーバーでは、管理画面のファイアウォールの初期状態が変わることがあります(さくらのVPS では、スタートアップスクリプトを使うとオフになります)。作成したら必ず確かめてください。
  • アップデートやバックアップは、結局は自分で行います。中身を把握しておくために、このサイトでは Docker だけを入れて、構成ファイルを自分で書く手順を紹介しています。

用途別のおすすめ

n8n だけを動かす(2GB)

n8n は、起動しただけなら約400MiB で動きます。2GB のプランなら、料金の安さで選んで問題ありません。ただし、1回のワークフローで数万件のデータを扱うとメモリが大きく増えるため(n8n の VPS の選び方で実測しています)、その場合は 4GB を選んでください。

Dify だけを動かす(4GB)

Dify は、何もしていない状態でも約1.93GiB を使います。4GB が最低ラインです。初期状態でファイアウォールが閉じている ConoHa VPS か XServer VPS が、設定の手間が少なく済みます。どちらも Dify のテンプレートを用意しています。詳しくは Dify の VPS の選び方で比べています。

Dify と n8n を同居させる(8GB)

8GB は会社による料金の差が最も大きい区分です。

  • 料金を優先するなら ABLENET VPS の L3 です。受付中の会社の中で、1ヶ月契約の料金が最も安い水準です。管理画面のファイアウォールが見当たらないため、構成で守る前提になります。
  • 管理画面のファイアウォールを優先するなら XServer VPS の 8GB です。料金は上がりますが、契約直後から外からの接続が閉じています。

まとめ

  • まず、動かすアプリに必要なメモリを決める(n8n は 2GB、Dify は 4GB、同居なら 8GB)。
  • 次に、管理画面のファイアウォールの初期状態を確かめる。Docker を使うなら、ここが料金の次に効く違いです。
  • 最後に、契約期間と初回だけの価格を見て、2年目以降の料金で比べる。

料金や受付状況は変わるため、このページの表は確認日を明記し、変更を見つけしだい更新します。

出典

  1. Packet filtering and firewalls(Docker 公式ドキュメント)(に確認)