Vercel は、Git に push するだけでサイトを公開できる便利なサービスです。ただ、無料の Hobby プランには 「個人の非商用の利用に限る」 という条件があります。広告やアフィリエイトのあるサイトを Hobby プランで運営している場合は、規約に反している可能性があります。
この記事では、Vercel の規約で何が「商用」とされているかを確かめたうえで、移行先の選択肢を整理します。
Vercel の Hobby プランで「商用」とされるもの
Vercel の公式ドキュメント(Fair Use Guidelines、2026年9月14日更新)は、Hobby プランを「非商用の個人利用に限る」とし、商用の利用には Pro か Enterprise のプランが必要だとしています。商用の例として挙げられているのは、次のようなものです。
- サイトの訪問者に支払いを求める、または支払いを処理する
- 商品やサービスの販売を宣伝する
- サイトの制作・更新・運営で報酬を受け取る
- アフィリエイトリンクがサイトの主な目的になっている
- Google AdSense などの広告を載せている
寄付を募ることは、商用には当たらないとされています。判断に迷う場合は、Vercel のサポートに問い合わせるよう案内されています。
Pro プランは、開発者1人あたり月20ドルです(Vercel 公式ドキュメント)。これを払い続けるか、別の場所に移すかが選択肢になります。
選択肢1:静的なサイトなら、静的ホスティングに移す
ブログや比較サイトのように、ビルドするとファイルだけになるサイト(Astro、Hugo、Next.js の静的出力など)なら、VPS を借りる必要はありません。
たとえば Cloudflare Pages は、Cloudflare の利用規約(Self-Serve Subscription Agreement、2025年9月12日更新)に、無料プランを非商用に限る条項が見当たりません。無料プランのおもな上限は次のとおりです(公式ドキュメント、2026年9月5日更新)。
| 項目 | 無料プランの上限 |
|---|---|
| ビルドの回数 | 月500回 |
| 同時に実行できるビルド | 1つ |
| 1サイトのファイル数 | 20,000個 |
| 1ファイルの大きさ | 25MiB |
ただし、Cloudflare の規約には、無料のサービスについて「損害の責任を負わない」「Cloudflare の判断で終了できる」といった条項もあります。また、サービスごとの個別の規約もあります。使う前に、自分のサイトの使い方が条件に合うかを確かめてください。
選択肢2:アプリなら、VPS とセルフホスト PaaS を使う
サーバーで処理を行うアプリ(Next.js のサーバー機能、API、データベースを使うものなど)は、VPS に移すのが現実的です。Vercel のように「Git に push すれば公開される」使い勝手を残したいなら、セルフホスト PaaS と呼ばれるツールを VPS に入れます。
| 項目 | Coolify | Dokploy | CapRover | Kamal |
|---|---|---|---|---|
| 形 | 管理画面のあるツール | 管理画面のあるツール | 管理画面のあるツール | 手元から操作するコマンド(管理画面なし) |
| 版(2026年10月) | 4.5.0 | 0.30.10 | 1.15.4 | 2.12.0 |
| 公式の最小要件 | 2コア、2GB | 2GB | 1GB が目安 | 記載なし |
| アイドル時のメモリ(実測) | 約352MiB | 約874MiB | 未測定 | 未測定 |
| Git に push で公開 | 対応 | 対応 | GitHub Actions を使えば対応 | kamal deploy を実行 |
| プレビュー環境 | あり | あり | 未確認 | 未確認 |
| HTTPS の自動化 | あり | あり | あり | あり(1台のときのみ) |
Coolify と Dokploy は、両方を実際にインストールして比べた記事で、メモリと開くポートを詳しく解説しています。
- Vercel に近い使い勝手を求めるなら、Coolify か Dokploy です。どちらも Git 連携、プレビュー環境、自動の HTTPS を公式に備えています。迷ったら、正式版になっていてメモリも少なめだった Coolify を勧めます。
- 管理画面を持ちたくないなら、Kamal です。手元のパソコンからコマンドでデプロイするツールで、サーバーに常駐する管理画面がありません。そのぶん、狙われる入口も減ります。ただし、Docker イメージを置くレジストリが別に必要です。
- 1つのアプリを動かすだけなら、PaaS を入れずに Docker Compose と Caddy で公開する方法でも十分です。
PaaS は、サーバーの管理者と同じ権限を持ちます
Coolify や Dokploy は、サーバー上のすべてのコンテナを操作できます。2026年は、どちらにも、ログインした人がサーバーの root 権限でコマンドを実行できてしまう脆弱性が多く公表されました。管理画面のアカウントは自分だけにし、新しい版が出たら早めに更新してください。
費用の目安
Vercel の Pro プランは、開発者1人あたり月20ドルです。VPS に移す場合、PaaS とアプリを載せるならメモリ 4GB のプランが目安です。
| サービスとプラン | 1ヶ月契約 | 最長契約の月額 | ファイアウォール | 新規申込 |
|---|---|---|---|---|
| WebARENA Indigo4GB、4コア、SSD 80GB | 1,630円 | 1,630円なし(時間課金のみ) | 未確認セキュリティグループ | 停止中 |
| KAGOYA CLOUD VPS4GB、4コア、NVMe SSD 600GB | 1,760円 | 1,617円12ヶ月(年額) | 初期状態は全許可セキュリティグループ | 停止中 |
| シンVPS大容量メモリ 4GB、3コア、NVMe SSD 50GB | 1,800円 | 1,350円36ヶ月 | 未確認パケットフィルター | 受付中 |
| ABLENET VPSL2、3コア、SSD 80GB | 2,167円 | 1,706円12ヶ月(年払い)初回 1,536円 | 記載なし | 受付中 |
| ConoHa VPS4GB、4コア、SSD 100GB | 2,189円初回 1,752円 | 1,691円36ヶ月初回 1,285円 | 初期状態で拒否セキュリティグループ | 停止中 |
| XServer VPS4GB、4コア、NVMe SSD 150GB | 2,640円 | 2,035円36ヶ月 | 初期状態で拒否パケットフィルター | 受付中 |
| さくらのVPS4G、4コア、SSD 200GB | 3,520円 | 3,227円12ヶ月 | 一部だけ制限パケットフィルター | 一部のみ受付 |
に各社の公式ページで確認した価格です。1ヶ月契約は更新時の価格で、時間課金・日額課金しかない会社は月額の上限を載せています(ConoHa VPS は一括前払いの1ヶ月の価格で、時間課金はこれより上限が高くなります)。最長契約の月額は、最も長い契約期間の料金を1ヶ月あたりに換算した額です。ファイアウォールは、VPS の管理画面で設定できるものの初期状態です。申込の受付状況は変わりやすいため、契約の前に公式ページで確かめてください。
- ABLENET VPS: 初回の価格は「契約時特別価格」で、最初の支払いだけに適用されます(期限の記載なし)
- ConoHa VPS: 初回の価格は 2026年10月29日までのキャンペーン価格で、申し込み時だけ適用されます
VPS の費用は、アプリをいくつ載せても変わりません。一方で、OS の更新、バックアップ、障害への対応は自分で行うことになります。この手間を含めて判断してください。各社の違いは セルフホスト用 VPS の選び方にまとめています。